数日続いた吹雪が嘘のように晴れ上がる。風雪がいかに激しかったかを示すように巨大なシュカブラが幾重にも雪面に刻み込まれている。 この旭岳周辺一帯で最も好きな場所が夫婦沼より望む山の姿である。夏、雪解け水をたたえコバルトブルーに輝く沼も、吹き溜りの雪に埋も れ北海道第一の高峰の雄大さを演出しているからだ。撮影中、岡花博文氏のパーティーが通り、暫し山談義に花を咲かす。大雪山国立公園自 然指導員をしている彼には山で随分お世話になった。それにしても今日まで沢山の出合いに恵まれたものだ。確かに山は素晴らしい。だがそ れら一つひとつの想いを重ねると山は一層輝きを増す。来る年はどんな出合いが待っているのだろうか?とふと期待に胸がはずむ。 |