大雪山系の景観で最も迫力を感じさせるのが上ホロカメットク山頂の展望であろう。私がこの山を訪ねるときは、まず安政火口まで行き、 さらに沢筋を進み上ホロと大砲岩との稜線上に至るのが常で、長年四季を通して登山を重ねてきた。それだけにこのコースには数え切れない ほどの思い出があり、その時々に出合った人の顔が季節の彩りとともに鮮やかに思い浮かび、私の心を果てしない追憶の世界へと誘う。山頂 に立つと、北に噴煙を上げる十勝岳が、赤茶けた姿で望まれ、逆方向には富良野岳が残雪を配しそびえ、後方には芦別岳が峰を連ね迎えてく れた。 |