午後、淡路島から訪れたという方と同行し天人峡温泉を発ちヒサゴ沼に向かう。途中多数の風倒木が道を塞ぎ思いのほか時間をロスし、日 没でやむなく登山道に幕営するはめになった。翌朝快晴、手早くテントを撤収し懐中電灯をたより出発する。化雲岳を下るとすでに朝日が 花々を浮かび上がらせ、その背後にはニペソツ山が展開し、まさに花の楽園大雪山を象徴するかのような光景である。撮影が一段落した後ふ と同行者が花を愛でる姿が目に入る。以前からこの大雪山には豊かな内面性に裏打ちされた女性の姿が似つかうと思っていたが、まるでアイ ヌ民謡の一場面が再現されたかのような光景である。私は時間が古き良き時代に逆戻りしてしまったかのような奇妙な感覚になり、つい見 入ってしまう。 |