曲線的で女性的な山容の大雪山系にあって急峻で男性的な姿をみせる厳冬の上ホロカメットク山。私はこの景観を求めスキーで安政火口まで行き、そこでアイゼンにかえ夫婦岩への急斜面を登る。夫婦岩附近から望むD尾根は上ホロ・八ッ手岩そして化物岩が峰を連ねこれが大雪かと思うほどの迫力である。 時おり噴煙が切れると、氷壁と登るロッククライマーの姿が見られ、それをハラハラしながら目で追っていると、時の過ぎるのを忘れるほどだ。ふと私は彼等の後を追い登攀したくなるような衝動にかられる。なぜ冬の山はこんなにまで私の心を引きつけてはなさないのであろうか?
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