日の出前、懐中電燈をたよりに銀泉台を発ち第一花園に向う。放射冷却で空気が澄んだせいであろう雲海上に雌阿寒岳・雄阿寒岳そして知床の山並までがくっきりと浮び上り、日の出の時を待っている。 日が登り左の稜線に目をやると、ダケカンバとナナカマドが色づき朝光を受け山肌を原色に染めている。まさに銀泉台ならではの圧巻である。 撮影を終え一息ついていると、足元をナキウサギが冬支度のためであろう忙しく動きまわっている。時おり発する甲高い声を聞き、あの愛くるしい姿を目で追っていると、いつしか自分が大雪山の懐に抱かれているような安らぎを覚える。
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